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EURETINA 2026 参加体験記 ~ウィーンにて~

このたび、2026年10月1日から4日にかけて、オーストリアのウィーンで開催された第26回EURETINA(欧州網膜硝子体学会)に参加させていただきました。

EURETINAは、網膜・硝子体疾患を専門とする眼科医や研究者が世界中から集まる、世界最大規模の網膜分野の国際学会です。今年も世界各国から多くの先生方が参加され、最新の研究成果や治療技術について活発な発表や議論が行われ、会場は大変な熱気に包まれていました。

私自身も今回、現在留学中のオックスフォード大学で取り組んでいる、網膜硝子体手術における術者の手ぶれを手術動画から定量的に解析する研究について発表する機会をいただきました。手術動画を用いて術者の微細な動きを客観的に評価するという研究であり、国際学会の場で自分たちの取り組みを発信できたことは、大変貴重な経験となりました。

今回の学会で特に印象に残ったのは、萎縮型加齢黄斑変性に対する網膜下インプラント「PRIMA(プリマ)」に関する報告です。

PRIMAは、萎縮型加齢黄斑変性によって中心視機能が高度に障害された患者さんの視機能回復を目指して開発された、人工網膜システムです。手術によって微小な光電変換チップを網膜下に埋植し、専用の眼鏡型デバイスで取得した映像を近赤外光としてチップに投影することで、残存する網膜神経細胞を電気的に刺激し、視覚情報を伝達する仕組みです。

臨床試験では、従来の治療では視機能の回復が困難であった患者さんにおいて、中心視機能の改善が認められたことが報告されました。特に、高度な視力障害のために文字を読むことが難しかった患者さんが、再び文字を認識できるようになったという成果は非常に印象的でした。これまで視機能の維持を主な目標としてきた網膜疾患の治療が、失われた視機能の回復を目指す新たな段階へと進みつつあることを実感しました。

また、企業による医療機器の展示ブースも大変な盛況でした。3D映像をモニターで確認しながら手術を行う「3D Heads-up Surgery」のシステムや、VRゴーグルを活用した手術システムなど、最先端の技術を実際に体験することができました。眼科手術を取り巻く技術の進歩は目覚ましく、今後のさらなる発展が楽しみになりました。

そして、今回の学会で私にとって何より感慨深かったのは、日本の先生方との再会でした。

私は現在、オックスフォードに留学して研究生活を送っていますが、日本を離れていると、以前からお世話になっている先生方と直接お会いする機会はどうしても限られます。そんな中、今回の学会では、門之園先生や井上先生と久しぶりにお会いすることができ、さらに日本の多くの大学の先生方とも再会することができました。

日本からウィーンまでは約14時間という長旅にもかかわらず、20名を超える日本の先生方が参加されており、日本の先生方の網膜診療や研究に対する熱意を改めて感じました。こうして海外の学会で日本の先生方と再会し、近況を報告し合いながら交流できたことは、留学中の私にとって非常に嬉しく、特別な時間となりました。

学会が開催されたウィーンも、歴史ある美しい街並みが印象的な、とても魅力的な都市でした。中でも個人的に嬉しかったのが、「水」のおいしさです。ウィーンの水道水はアルプスから運ばれているそうで、冷たく、とてもおいしい水でした。普段生活しているオックスフォードの水は硬水ですが、ウィーンの水は日本に近い軟水で、久しぶりに日本の水を思い出すような味を楽しむことができました。

今回のEURETINAへの参加は、自身の研究成果を発信するとともに、網膜診療の最先端に触れ、多くの先生方と交流することができた、大変有意義な機会となりました。今回得られた刺激や学びを、今後の臨床・研究活動に生かしていきたいと思います。

最後に、このような貴重な機会を与えてくださった門之園教授をはじめとする先生方に、心より感謝申し上げます。

田中 慎

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